Speaker

高橋慶壮
高橋慶荘

理想的な根管形成
Ideal Root Canal Preparation

「Half of what we have taught you is wrong.  Unfortunately, we don’t know which half.」(私たちがあなた方に教えたことの半分は間違っている。残念ながら、どれが間違いかを我々は知らない。)ハーバード大学医学部長を務めたSidney Burwell博士が卒業式で学生を戒めた言葉です。医学は進歩し、真理は常に更新され続けるので、医師たるもの、知識と治療技術のアップデートが不可欠であることを伝えたのでしょう。我々歯科医師にもそのまま当てはまるアドバイスです。
根管内の感染源を除去して自然治癒力に期待するのが根管治療の基本概念です。Schilderは根管治療の原理・原則を「cleaning, shaping, packing」と表現しました。しかし、総論を理解しても個々の患歯の根管系は複雑であり、各論で躓いている歯科医師は多いと思います。これまでの歯内療法学では根管形成の科学が欠落しており、卒前教育だけで適切な根管治療を実践することは困難でしょう。
近年、根管形成の科学はマイクロCT解析によって飛躍的に進み、これまでの定説が否定され、理想の根管拡大法が経験則ではなく科学的に検討されつつあります。演者らは根管の内壁を均等に切削し、トランスポーテーションを最小に抑える根管形成を実践するための法則化を目指しています。
欧米から普及したNi-Tiロータリーシステムは、切削効率に優れますが、最大公約数的な根管形成になりがちで適応する症例が限られます。板状根、樋状根および根尖の破壊された症例には不向きです。根管治療法の選択に際しては、「安全性」「効率」「治療時間」「コスト」を考慮する必要があるでしょう。
本テーブルクリニックでは、根管治療に失敗しないための理論を解説し、Step back法、JHエンドシステムおよびNi-Tiロータリーシステムによる根管形成をマイクロCT解析した研究を解説し、理想的な根管形成を実践するために不可欠の法則および方法を提示し、歯内療法の知識と技術のアップデートに役立つヒントを紹介したいと思います。
 
 
【略歴】
1988年 岡山大学歯学部歯学科卒業
1992年 岡山大学大学院歯学研究科修了 博士(歯学)
1993年 英国グラスゴー大学歯学部(Prof. Denis F. Kinaneに師事)